幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
私は春馬くんの応援を受け、スピードを上げて走る。

3年生がゴールを狙い、ボールをかまえる。


打たせてたまるもんか!


先輩に追いついた私は、シュートをカットしようとした。

そのとき。

後ろから、大きな衝撃が走った。

思いきり転んでしまう私。


な、なにが起こったの……?


倒れこみながらも振り返れば、3年のいわゆるヤンキーみたいな格好の人が勝ち誇ったような顔をして立っていた。



「おいおい。大丈夫かよ」



……わざとだ。

この人、わざと、私にぶつかってきたんだ。

私は起き上がって試合を続行したかった。


なのに。

膝がじんじんして、動けなかった。

見れば膝から血が出ていた。



「美羽!」

「有村さん!」



チームメイトが慌てて駆けつけてきてくれる。



「大丈夫⁉ 誰か保健室……!」



琴音ちゃんが『私が行く』と言ってくれたけど、私は断った。

まだ試合の途中だ。

勝敗も決まっていないのに、こんなことで負けて欲しくない。
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