幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「自分で行けるから。みんなは試合続けて」

「美羽っ!」



唯斗くんも駆けよって来てくれる。

相手チームの私のことをわざわざ心配しなくてもいいのに。

チームメイトを今は大事にしなよ。


そう思ったのに。



「俺が保健室に連れて行く」

「「「ええっ⁉」」」



コート内、ギャラリーから驚きの声が上がる。

驚いたのは私も同じだ。

だって、唯斗くんはどこもケガしていないのだから試合に出るべきなのに。


なんで……。



「美羽が試合から抜けたら人数的にフェアじゃない」

「でも、これは、」

「それに。……不正行為は許せないからな」



そう言って、私にぶつかってきた人に鋭い視線を送る。

少し青ざめた表情の先輩。

そういうとき、人間は勝手に口が動くんだね。

ペラペラと言い訳を始める。
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