ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「見るだけで、だいたいの人間は把握できるはずなのに」

木村有里がどんなタイプの人間なのか、正直わからない。
探るつもりで食事に誘ったら、あっさり断られた。
即答である。
生まれて初めて、食事に誘って断られた。
ジジイですら、驚いていたからな。

「あいつ、何者だ?」

その一言に尽きた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

日曜日の午後―――美桜さんがケーキを焼いたので、よかったら食べにいらしてくださいと招待してくれた。
弟夫婦とは同じマンションの隣に住んでいるので、気軽に招待されることが多々あった。

「木村さんはどうかしら?」

「はあ、まあ。優秀ですよ」

「なんだ、その煮え切らない返事は」

宮ノ入グループの社長である優秀な弟は結婚生活が楽しいのか、以前より表情は穏やかで精神的にも落ち着いた。
弟に素敵な女性が見つかり、本当によかった。

「いえ……。こう調子がでないというか」
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