ネトゲ女子は社長の求愛を拒む《宮ノ入シリーズ②》
「社長秘書だったイケメンの八木沢(やぎさわ)さんは子会社になった沖重の社長になって会えないし、ざんねーん」

八木沢さん―――あの目つきが鋭いクールビューティーか。
綺麗なせいか威圧感半端ないんだよね。あの人。つまり超怖い。

「残念って。八木沢さんだって社長と同じで雲の上にいるような人じゃないの?」

「そんなことないですよー。わかりませんよ」

自信あるなあ。
私が高難度の敵に挑むのと同じ気持ちか。
仕方ないな。それは。
でも、八木沢さんはどうみてもラスボス級だからなー。

「木村さん」

噂をすれば、なんとやら。
課のみんながギョッとして仕事の手を止め、現れた人物を仰ぎ見た。
まあ、それもそのはず。
社長の奥様だからね。

「先輩、どうしました?」 

「少し話があって。時間、大丈夫かしら?」

「あ、はい!大丈夫ですよ」

今日の仕事は終わっていて、急ぎのものはない。
< 6 / 135 >

この作品をシェア

pagetop