confused me

-Day 1-

「あははっ、可愛い顔してるよね、本当に」


「......誰ですか」


舌なめずりをする男。
そんな男が、私の上に乗っている。

いわゆる、馬乗りと言うやつだ。


「忘れたの?ひひっ、君の大好きな人だよ」


「...誰ですか」


「わからないんだね...ううん、きっと覚えてるけど、びっくりして名前が出てこないんだよね?」


男が嬉しそうに頬を染めながら、私の首に手をかける。
それはただ触れるだけで、力は入っていない。


「僕はねぇ...京極 律だよ」


「きょうごく...りつ...」


聞き覚えはある。
でもそれはまた別の京極だ。

京極夏彦と言ったか、作家の名前しか出てこない。


「ごめんねぇ、迎えに来るの、こんなに遅くなっちゃって。ふふ、あまりにもゴミが多すぎて、足を取られたんだ」
< 5 / 100 >

この作品をシェア

pagetop