confused me

-Day 10.5-

引っ越す前、僕の隣の家には、天使がいた。


「律、神門さんちに行くよ」


隣の家の天使は、孤独だった。
両親に置いてきぼりにされ、クラスの子にも嫌われていた。

でも、それでも、僕の前で明るくしようと笑う君が愛おしかったのを、覚えている。


「あら優里ちゃん、今日はお勉強してるの?」


リビングの机で教科書を広げる優里。

彼女は不登校で、学校が嫌いだった。


「うん、そう」


「いい子ね。わからないところがあったら、律が教えてくれるからね」


そう言って母が笑って、優里もにっこり笑う。
彼女は、本当に僕の天使だった。

優里は母の料理が大好きで、特にシチューが大好き。

シチューが出る日は米を炊かず、パンを浸して食べる。

優里はその食べ方をすっかり気に入ったようで、シチューが出る日はニコニコしていた。
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