御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
「私だって……まさか、結婚するなんて思いもしなかったからな……」

涙がこぼれた。

「雅冬さんが普通の人ならよかったのに」

「十分、普通の人だ。馬鹿」

声に振り返ると、雅冬さんがいた。

「ど、どうしてここにいるんですかっ!」

「電話の様子がおかしかったからだ」

「よくわかりましたね……」

「勘はいい方だ」

「知ってます」

だから、嘘はつけない。

「何を泣いているんだよ」

ハッとして、涙をぬぐった。

「あいつに何言われた?」

「言いたくないです」

「言えよ!」

そんなの言えるわけない。

雅冬さんに手を伸ばされて、思わず、体を引いた。

「……だいたいわかった」

「なにがですか」

素早く腕をつかみ、逃げれないよう抱え込まれると、強く抱きしめられた。

「このまま二人でどこか行くか」

低い声にハッとして声をあげた。
怒っている―――優しい?そんなわけない。
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