御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
雅冬(まさと)、秘書のお嬢さん達の中に気に入る女性はいた?」

いるわけねーだろっ!
あんな仕事もしない給料泥棒もいいところだろうが!
そう言いたかったが、言えば、またヒステリーが起きる。
暴れるとめんどうだから、それは避けたかった。
母の言う『秘書のお嬢さん達』とは母親が選んだ婚約者候補らしいが、どれも感じが悪い。
俺は勘が良すぎるらしく、あの女達の下心が見えすぎて、遊びでさえも手を出す気にならない。

「いない」

一気に気分が悪くなった。
ずっとこれだ。
他に話題はないのかよ。

「まあ、困ったわね」

勝手に困っていろよ。

「どんな方ならいいの?」

どんな?
そんなことを考えたことがない。
来るもの拒まず、去る者追わず。
そうやって、付き合ってきた。
ただ、そうだな。
俺の今の最悪な気分を救ってくれるような―――そんな人間がいい。

「いた」

脳裏に一人だけ、その姿がよぎった。

「え?」
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