御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
「菜々子。明日から、ちゃんと秘書として出勤しろよ」

「う…本当に私なんかが、秘書になるんですか」

「お前しかいなくなったからな。全員クビにしたのを忘れたか」

そんな得意顔で言うようなことじゃないと思う。
それもあんな簡単にクビにしちゃって。
これだから、お坊ちゃんは……

「そうですけど」

さすがにもう隠せないだろうから、凛々子に言わないと駄目だろうな……。
社内でばったり会う方が面倒なことになりそうだし。
それが一番憂鬱なんだってば。

「あの、今言うのもあれなんですが」

牛肉の青椒肉絲(チンジャオロースー)(はし)でつまみながら言った。

「実は受付に双子の妹がいるんです」

「へぇ」

「それだけ!?なにか言うことないですか?」

「似たような顔がいたような?いないような…」

覚えてないようだった。

「別にいいんじゃないか?」

「そうなんですけど」

雅冬さんがまったく気にしていなかったので、それ以上なんて言えばいいか、わからず、口ごもった。
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