御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
「私っ…社長の事が好きだから…振り向いて欲しくて。だから、社長が気に入っている姉のふりをすれば、好きになってくれると思ったのに。そんな冷たい態度をとるなんて、ひどいですっ」

凛々子は顔を覆って、泣き出した。
雅冬はそれをぞっとするほど、冷たい目で見ていた。

「俺は騙されるのが嫌いだ。どれだけ、似せようと違うものは違う」

気配でわかると言っていたのを思い出した。
勘が良い雅冬さんを騙すのは難しいだろう。

「二度とこんな真似するな!」

怒鳴りつけられると凛々子は顔を赤くして、泣きながら社長室から出ていった。

「菜々子、また盗み聞きか」

そんなつもりはなかったのだけど、あまりの展開に足が動かなかった。

「あ、すみません。驚いてしまって」

放心状態で秘書室から社長室に入った。

「凛々子があんなことするなんて」

「おい、顔色がわるいぞ」

ずっとああやって、私の付き合ってきた彼氏を奪ってきたのだろうか。
なんのために?
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