御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
声に顔を上げると、同じ年齢くらいの男の人が立っていた。

(きょう)くん?」

少しだけ付き合ったことのある元彼だった。
凛々子がその後、付き合っていたけれど。
どれだけ付き合ったのかは知らないけど、気づいたら凛々子と恭くんは別れていた。

「なんで泣いてるんだ?」

相変わらず、スポーツをしているのか、短い髪とがっしりとした体をしていた。
就職したのか、スーツを着ていた。

「ちょっとね…」

久しぶりにあった元彼に家から追い出されました、なんて言えるわけがなく、うつむくしかなかった。

「寒いし、その辺の店に入ろう」

こっちの返事も待たずにひょいっと荷物を持つと、腕を掴み、近くのファーストフード店に連れていき、座らせた。

「菜々子、何か食べるか?」

「ううん、大丈夫」

「そっか」

恭くんはホットコーヒーを二つ、持ってくると前に置いた。

「ありがとう」
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