御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
雅冬さんは立ち上がり、側によると抱き寄せて髪を撫でた。

「次からはすぐに連絡しろよ」

心配をかけてしまったようだった。
バッと体を離し、雅冬さんが声を張り上げた。

「おい、熱があるぞ!」

「え?まさか」

「わからなかったのか」

「なんだが疲れてるなあとは思ってましたけど……」

ひょいっと抱えられ、ベッドに運ばれると、額に手をあてられた。
手が冷たくて、気持ちいい。

「どうだ?」 

「平気です」

それよりも、疲れて眠かった。

「そうか。今、薬と水を持ってくるから」

「雅冬さん」

「なんだ?」

「このベッド、雅冬さんの匂いがします」

「ばっ、ばかっ!」

うとうととして、まぶたが閉じていった。

「今、言うなよっ!」

なにか、言っていたけど言い返す力は残っていなかった。

 
< 81 / 170 >

この作品をシェア

pagetop