エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 新品をとっかえひっかえ履いている人は飽きっぽく、安物を好む人は深く考えず思い付きで行動するタイプ。

 両者のタイプとも口約束では簡単に反故にされることがあるため、書面に残せと教えられた。

 信用していいのは、値段が高くても品質のいい靴を選んで長年大切に履いている人。

 そういう人は靴と同様に、人間関係においてもメンテナンスしながら長く誠実に付き合ってくれるらしい。

 あくまでも布施の経験からくる私見だが、瑞希も一理あるような気がしていた。

 玄関に置いてある黒い革靴は、まさにそういう靴だった。

(ビジネス用だから、お父さんの職場の人かな?)

 瑞希の父が職場の人を自宅に招いたことは覚えている限りで一度もないが、こういう靴を履きそうな親戚や近所の人はいないのでそう予想した。

 けれども居間のドアの向こうから、キャッキャと海翔のはしゃぐ声が聞こえてくるのでまた首を傾げる。

(お父さんの職場の人なら、海翔がうるさくしないように、お母さんが二階か寝室に連れていきそうなものだけど)

「ただいま……」

 そっと居間のドアを開けて中を覗いた瑞希は、息をのんだ。

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