エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「布施さんにご挨拶せずに辞めたこと、ずっと心に引っかかっていたんです。今、言わせてください。在職中はお世話になりました。あんなにご指導くださったのに、リタイアして申し訳ありません」

軽く頭を下げ、それから退職理由を尋ねられないようすぐに話題をずらす。


「布施さんは一時帰国ですか?」

「いや、呼び戻された。つい昨日の話だ。今日は休日調整でオフ日なんだ。知り合いに誘われて、このフォーラムに参加した」


外務省に勤務していた時、瑞希も休日は自費で講演を聞きにいったりセミナーを受講したりしていた。

通勤電車の中でも仕事に関わりのありそうな本を読み、語学の勉強をして、自己研鑽に勤めていた日々を思い出す。

それが当たり前の空気が外務省の職員間には流れており、大使を務めるほどの階級まで上がった布施であっても日々学ぶことを疎かにしていないようだ。

(こういう会話も、すでに懐かしいものになってしまった。最近の私は勉強していない。あ、リタイアしたから、もうしなくていいのか)

少し寂しい気分にさせられつつも、布施との会話に緊張は続いている。


「呼び戻されたとは、大使を交代ですか?」

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