エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
蛭間に敬語で返され、鏑木には「森尾さん、かっこいい」とキラキラした目を向けられて、踵を返した瑞希はため息をもらした。

(なんか変な空気になってしまった。人間関係が一番難しいかも)

交渉事を円滑に進めるために、外交官は高いコミュニケーション能力も求められる。

職場の上司に恋愛感情を抱いて失敗しただけでなく、そういう面でも向いていなかったのだと、瑞希は冷静に自己分析するのであった。




夕暮れ時。仕事を終えた瑞希は電車を下車した後、保育園に向かう。

街路樹が色づくのはまだこれからだが、茜色の日を浴びるイチョウの葉に、どことなくノスタルジックな秋の趣を感じた。

美しい住宅街の景色でも見惚れている暇はなく、海翔が待っていると思えば自然と足早になる。

(今朝、お絵かきを嫌がっていたから心配……)

保育園までもう少しというところで、携帯電話が震えた。

ポケットから取り出すと、SNSアプリがメッセージを受信した通知であった。

「真野(まの)ちゃんだ……」

真野美穂は外務省に同期で入った外交官。

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