エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「森尾さん、外交官だったんですか? 世界を飛び回る仕事ですよね。すごい、かっこいいです!」

「あ、ありがとう。でも今は違うから――」

「なんで辞めちゃったんですか? 周りにハイスペックな男性がいっぱいいそうなのに、もったいない。私なら玉の輿に乗れる結婚相手を見つけてから辞めます」

(あれ? 鏑木さんって、実は結構、肉食系……?)


ハイスペックな男性という言葉に、布施の顔が浮かんだ。

恋愛や結婚をするために外交官になったわけではないが、結果として瑞希は布施に恋をした。

自分の気持ちに気づいた時、布施には婚約者がいたので、叶わぬ恋だとわかっていても密かに想いを募らせていたのだ。

彼に片思いをしていた当時の気持ちに戻されそうになり、瑞希は鏑木から離した手を握りしめた。

そして無理して口角を上げる。


「鏑木さん、私はシングルマザーなんだよ。知らなかった? 母親業に忙しいから出会いはいらないんだ。それでは蛭間さん、私はバックヤードに戻りますね。お茶が足りなくなった時に備えて、ポットをもう一台、用意しておきます」

「あ、はい。すみませんがよろしくお願いします」

< 29 / 224 >

この作品をシェア

pagetop