エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
ズキンと胸が後悔に痛む。

(傷心の布施さんを慰めたいなんて、建て前の動機かも。私を女として見てほしいと、勝手な気持ちで誘ってしまった。ズルいよね)



***

三年ほど前――。

霞が関にある外務本省から徒歩圏内のカフェで、瑞希はランチを楽しんでいた。

「んー、美味しい!」

かぶりついているのはエビとアボカドのサンドイッチ。

スープとサラダ、デザート付きのややお高めランチセットである。

ふたり掛け席の向かいは、真野だ。

真野はオマールエビのパスタとアイスティーで、時間が合えばこうしてふたりでランチに出かけていた。

洒落た店内は、圧倒的に女性客が多い。

入店時に見回したところ、顔見知りはいなかったので気を抜いてお喋りを楽しめる。

ランチに使われているエビの生産国について話をしていたふたりだが、真野が急に「そうだ」と話題を変えた。

「私も今日、聞いたよ。布施さんの噂」

片思い中の上司、布施の名を出されて、瑞希の鼓動が跳ねた。

けれども何食わぬ顔で食事を続けつつ、「噂って?」と返した。

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