エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
(どうか布施さんが早く立ち直れますように。その後は私のことを、少しだけでも女として意識してくれますように)



***

オフィスビル街近くの小綺麗な和食ダイニングは、うまい日本酒と鮮度のいい刺身が楽しめる。

半個室のテーブル席で、布施は同期の外交官、小堺(こさかい)とふたりで飲んでいた。

小堺は中国を専門としているので所属する局が違い、業務上の関りは薄いが、気心の知れた仲である。

気さくでユーモアのセンスがあり、上手に手抜きができるところが羨ましい。

入省以来、十六年ほどの付き合いになる小堺の、愛嬌ある垂れ目が布施に向けて細められた。


「日焼けしたな」

「そうか? 外を出歩く機会は少なかったんだが、緯度が低いからな」

「あっちはかなり危険だったんだろ? 聞かせてくれよ」


守秘義務があるので、このような場所で詳細は語れず、国名や団体名も伏せてふたりは会話している。

あっちというのは、布施が大使として就任していた、とあるアフリカの国だ。

スッキリ辛口大吟醸の冷酒を口にしながら、布施が渋い顔で話す。


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