エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
母である自分の方が離れがたい気分にさせられて、瑞希は苦笑する。

先生に着替えやオムツの入ったバッグを預けて頭を下げてから、保育園を後にした。

それからは満員電車で六駅移動し、高層ビルの立ち並んだ東京の中心部で下車した。

スーツ姿の通行人が多い中、瑞希は無地のロングTシャツにジャケット、秋色のワイドパンツという普段着である。

出産前は瑞希もオフィススーツを着て出勤していたが、転職した今は私服通勤である。

駅から速足で五分ほど歩いてくぐったのは、老舗ホテルの従業員出入り口。

結婚式場や宴会、会議などで使用されるホールを備えたこのホテルが、瑞希の今の職場だ。

とはいっても社員ではなく、派遣会社を通じてのアルバイトで、ホールでの会場セッティングや配膳サービスが主な仕事である。

以前の職場とは職種や給料、そして待遇も、なにもかも違う環境だが、優先すべきは子育てだと思って選んだ仕事だ。

学生アルバイトも多く登録されているので、海翔が急に熱を出しても休みをもらいやすい。

それが利点である。

若草色のベストにグレーの膝丈タイトスカートという制服に着替え、タイムカードを押す。

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