エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
平日の午前中に結婚式や宴会はなく、今日は昼食付きの企業の会議と『世界経済フォーラム』という講演会のような催しが予定表に書かれていた。

指示役は蛭間(ひるま)というホテルの正社員。

黒服を着て髪をオールバックで固めた中肉中背の男性で、瑞希と同じ歳である。

けれども気さくに接してくれることはない。


「森尾さんはフォーラムの会場準備担当で。昨日、小ホールで使用したテーブルスカートが乱れていたから気をつけて。君は女性のくせに雑だ」

「すみません。気をつけます」

(女性のくせにってなによ)

顔には出さなかったが、ムッとしてしまった。

しかもその注意を聞くべき相手は瑞希ではなく、今隣で一緒に指示を受けている鏑木(かぶらぎ)という女性アルバイトだろう。

昨日の企業会議のテーブルスカートのひだを整えたのは、鏑木であったのだから。

鏑木はそれは自分のミスだと言おうか言うまいか迷っている様子で、瑞希と蛭間に視線を往復させてオドオドしている。

厳しい視線を瑞希に向けていた蛭間は、鏑木に対しては優しい声をかける。


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