愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜

side. Takahiro

ピコンっ。

メッセージの受信音が鳴ったのとほぼ同時にスマホを開く。

「孝宏せんぱ〜いぃ。ユキ先輩たちまだですかぁ?もう待ち合わせ時間過ぎてるんですけどぉ〜」

広々とした個室の部屋に愛梨沙の甘く怠そうな声が響く。

時刻は20時15分をまわったところだ。

俺達はユキ先輩の彼女見たさで実はもう30分も前からここでスタンバイしている。

「いま渋滞から抜けたところだからあと5分ぐらいでここに着くってさ」

『あと5分ーー』そんな俺の言葉を聞くなり愛梨沙はヘナヘナとだらしなかった姿勢をピーンッと伸ばしてせっせと化粧を直し始めた。

愛梨沙は元からしてそこそこ可愛く見えると思うのに、普段からかなりの厚化粧なのが残念と言うかなぁ…

「なんですか。そんなジロジロ見ないで下さいぃ」

俺の残念そうな表情が見えたんだな。



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