愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜
ーー、そこからは驚くほど和やかな雰囲気になり、特にランと愛梨沙は喋りっぱなしで
愛梨沙はすっかりランに懐いたようだった。
女子トークに付き合わされて、やっとお開きになったのは日付けが変わった頃。
僕とランはタクシー、大津と愛梨沙は電車で各々帰ることになり、タクシーに乗り込むまで見送ってくれた愛梨沙は、
「ランさん、またねっ!今度遊ぼうね〜っ!」
もう僕の事なんて眼中になくて。
ランにだけいつまでも手を振っていた。
「ラン、すっかり懐かれちゃったね」
嫉妬している胸中を悟られたくなくてにっこり笑いながら言ったのに、
「嫉妬しているなら正直に言って。ユキの作り笑い、キライ」
右腕をタクシーのウインドウに引っ掛けて頬杖をつき、外の景色を見ているランは明らかに不機嫌だった。
「不機嫌になりたいのは僕の方なんだけど」
「…」
「ランは、僕だけのランだよね…?」
「当たり前じゃない。わたしがこの先もずっと関わっていたいのは、一生傍にいたいのはユキだけよ」
「だったら、なんで…」
「言わなくたって、ユキはもう気付いているんでしょう?」
「…それなら、僕がっ」
「しつこいゴキブリは、退治しなきゃね」
飲み屋での和んだ笑顔は消え、ランはその綺麗な顔を残忍に歪ませ笑った。