愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜

「…先輩、さっきからニヤニヤしっ放しッスよ?また彼女サンの事考えていたンスか?」

「…僕がニヤける理由が他にあるとでも?」

キッパリと言えば大津は何故か興奮して

「も〜っ!だから先輩をそこまで夢中にさせる彼女サン見せて下さいってぇ!写真ぐらいありますよね!?」

駄々っ子になっているが…

例え写真だとしてもなんで僕以外の男の目にランを晒さなきゃいけないんだ。

冥土の土産になら見せてもいいけど。

そう思って、

「お前、まだ若いんだからそんな死に急がなくたっていいと思うけど?」

シレッと言ってやった。

「死に急ぐってなンスかぁ〜!だって知りたいじゃないですかっ!ただ立ってるだけで女の子が群がってくる先輩をここまで骨抜きにしてる彼女サンって!ナニモノ!?って思うじゃないですかぁー!」

キャンキャンうるさいな。

「…そんなに見てみたいわけ?」

「見たいッス!!!」

何かを期待したキラキラした目で見つめてきたけど、

「無理っ」

こっちはこっちで極上の笑顔で蹴落としてやった。

「先輩のケチッ!」

「あ?」

客足が遠退(とおの)くとコイツはいつもこうやって絡んでくる。

しつこく食い下がって来る大津に、これでもかってぐらいの塩対応していたら、

「なに話してるんですかぁ〜?」

大津とは比べ物にならないぐらい胸くそ悪い甘ったるい声が聞こえて、その声の主が僕達の元へ近づいてきた。

「あっ、愛梨沙(ありさ)ちゃん!おはよう!今日早番なのっ?」

そんな僕の心中なんて知る由もない大津が途端にデレデレして大津と同じ大学生のバイト、峰岸(みねぎし)愛梨沙の問いに応えた。
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