世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




「……すげ」



 定番の唐揚げにアスパラベーコン巻き、ナポリタン、厚焼き卵。彩にミニトマトにブロッコリー。なんて素敵なお弁当だろう。クラスメイトから見た総一郎の周りにキラキラのエフェクトが見える。


 そして、保冷バックの中には大きめのおにぎりが3つ。


 総一郎はよく食べる。ちょっとやそっとじゃお腹いっぱいにならない。それを見抜いたあかりはおにぎりを三つも握ったが、大正解である。


 総一郎の心は、朝からずっとムズムズふわふわしている。あかりの自分を見守る笑顔がなんとなく脳内から離れない。


 あかりの世話焼きは病みつきになる。


 という三つ子の言葉なんて総一郎は知るよしもないが、なんというか、温かくてまた会いたくなる。あかりはそんな人間だ。


 割り箸を割って、弁当を目の前に迷い箸をしていると、無音の教室に一人の男子が駆け込んできた。



「うわ! なになに、めちゃくちゃ静かじゃんウケる!」



 総一郎の前の席にどかりと座り、大量のパンを机に置くと、総一郎の弁当を覗き込む。


 彼は金井隼也。総一郎と同じバレー部で、小学校からの幼馴染。とにかく元気。元気が取り柄だ。そして良い奴。




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