世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



 きちんと手洗いうがいをし、総一郎はリビングに通されダイニングテーブルの席に着く。


 あかりは貰った紙袋の中身を見て、顔を綻ばせる。



「羊羹に最中? わぁ嬉しい」
「最中は白餡と、桜餡と、こし餡」
「全部美味しそう……」
「全部美味い」
「そっかぁ」



 あかりはいそいそとエプロンを装備していたが、ハッとして総一郎に声を掛ける。



「夕ご飯食べてって、お母さん困らないかな? ご飯作っちゃってない?」
「いないから平気」
「へ」
「親父の海外赴任についてった」
「……ってことは」
「今一人暮らし」



 なんてこった。あかりは心の中で天を仰ぐ。



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