もふもふになっちゃった私ののんびり生活 ~番外編
 で、何故に土下座の勢いでヴィクトルさんに頭を下げているのかというと。

 この間、触っていい、って言われた時、思わず勢いに乗って尻尾に抱き着いて頬ずりしてもふもふしまくったんだよね!しかも背中から尻尾を滑り台のように滑り落ちたのをいいことに!!

 私、めっちゃ敏感な場所触りまくっていたよね!!いや、だって、抱き着いても手が回らない太さのもっふもふなビロードのような手触りがけしからんくらいにたまらなくて!いや、今はそうじゃなく!!

 あの時も、確かヴィクトルさんの慌てた声を聞いたような気はしたが、目の前の極上のもふもふにしか意識がいかなかったのだ。

 さすがに反省……だよね。自分でやられてこれだけぞわぞわするものだったとは。。。

「ああ……あの、ルリィ。まあ、その、尻尾と耳は敏感な部分だから、ちょっとは加減してくれるのは助かるが。そのな。番は別にお互いに毛づくろいをするから、触ってもいいというかなんというか」

 ふむ?もしかしてそれは、私はどこを触ってもいいと?いつでも触り放題?

 いやいやいや。一瞬今すぐにでもあの感触へダイブ!な気分になっている場合じゃないからっ!もしかして、尻尾と耳を触ってもいいのは番だけ、っていう設定のまんまですかっ!ええええっ!!私はもうあんなぞわぞわするのは嫌だけどっ!!

 あの感触さえ私が喜ぶから我慢する、と……?

「うわー、どこまで変態ですか、この男!ストーカーな上にロリコンなだけで変態なのに、もしかしてマゾですか!!ルリィ、近寄ったらいけませんよ、今すぐ全力で魔法をぶっぱなして帰って来て下さい!!」とか頭の中でセフィーが叫んでいるが、いや、その意見に思わず頷きたいけど、今はそれじゃないから!

「……いつも私ばっかり撫でまわしているので、申し訳ないので今度ブラッシングします、か?あっ!あの、尻尾じゃなくて、背中とかっ!!」

 だって、私に番の意識がないのに私ばっかりもふもふするのも悪いけど、また私がもふもふテンションヤッホー!で尻尾を撫で回さない保証はないのだし!!だからセフィー、耳元でそんな変態を撫で回すどころかブラッシングなんてしたら変態が移りますよ!とか言わないで!!変態、移らないからっ!

 ……いや、移らない、よね?いやいやいや。大きなもふもふに飛びついて全身で撫でまわす私の姿を客観視したらへんた……いやいやいや。ゴホンゴホンッ。あーあー、もふもふは正義!だから!だから!!(混乱中)

「そ、それは……う、うれしい、な」

 ネックレスから漂うセフィーの黒いオーラを感じたのか、おずおずとだがそれでもそう答えたヴィクトルさんに、今度街でヴィクトルさん用の特大ブラシを買おうと決意した私だった。(マル)


**おばあさんとアイリちゃんに獣姿を撫で回される前の話です**

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