離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「変っていうか……珍しいことだよね」
「それって意味変わらなくない?」
「それは、そう」
唯は驚きを隠せないまま、追加で注文したカクテルを飲んだ。こうなったら、今日は思いっきり飲んで、話を聞いてもらってストレス発散したい。
「それって今まで一度もないの? そういう雰囲気にならないわけ?」
「ない。初夜さえも手を出されなかったの」
「それは……厳しい。彼とは仮面夫婦なわけ?」
体の関係がないわたしたちだけれど、その呼び方はしっくりこない。
「仮面夫婦とはちょっと違うような……。だって慶次さん、わたしのことをものすごく大切にしてくれているんだよ。結婚を公にしていないのも、わたしのためでもあるし」
公にしない理由には、ちゃんと納得している。
「大切ねぇ。でも好きと大切は違うんじゃない? 今までの話を聞くと、旦那さまはおじいさまの手前断れなくて結婚したっていうふうに見えるけど」
「……う」
「確かにあの白木豊の孫となれば結婚したら色々と得しそうだもんね。会社をしていたら大きな後ろ盾になるだろうし。お金持ちも大変だなぁ。早く結婚させたかったっていうのはわかるけど、これはちょっとね。おじいさまは知ってるの?」
「そんなの、知るはずないじゃん」
祖父にこんなこと言えるわけがない。
「そりゃそうか。心臓悪いんだもんね」
「そうじゃなくても、言えないよ。身内にこんな話」
結婚する時に祖父が送ってくれたベッドは、いまだにわたしがひとりで使っているなんて……。