夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
短い挨拶を済ませ、久世家一同は出口で招待客のお見送りをしていた。
婚約者の方と一緒の篠原様、しばらくして勅使川原様が続く。
そして、最後尾が見える頃、東海林様が…
内心、(げっ)と思いつつ、笑みを絶やすことなく皆と同じような挨拶を述べたつもりだった。
「本日は、私のお披露目に出席して頂きありがとうございました。久世家の跡継ぎとして精進してまいりますので、今後ともお力添えをお願いいたします」
「えぇ、もちろんです。そんな謙虚な言葉は必要ありませんよ。あなたと私の中ではありませんか!未来の夫として、久世家の為に、尽力は惜しみません」
にこやかに笑って、手まで握られた。
東海林様の勘違いも甚だしい言動に、周りの人々がざわつく。
『「東海林君」』
祖父の声にかき消される声で、理玖が彼の横に立つ。
「亜梨沙さんと君は今日が初対面だろう。彼女の婚約者候補にもまだ入ってもいないのに、誤解を招く言動は気をつけた方がいい」
「な、なんだ君は?先ほどといい、彼女の前でナイト気取りか?」
「恋人として、彼女を守るのは当然だと思うが、何か?」
理玖の突然の発言に、東海林様だけではなく、その場にいた者が彼らに注目することになる。