夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「さっきは、咄嗟で無計画だったからな。今度は考えるさ。今日は、表面上はお前のお披露目ってことになってるが、顔合わせした奴らは、お前の婿選びの場だと知っている。なら、奴らの前で俺たちの仲を示せれば、他の奴らに牽制になる。親父さん達がどう反応するかは、かけるしかない」

「ほぼ、無計画じゃない。それにそんなことして、余計に怒りが増すと思うけど」

「まぁ、なんとかなるさ。とりあえず、亜梨沙は口紅を塗り直して、招待客の見送りに行って来い。その前に、もう一度、キスしような」

蠱惑的な笑みに拒むことなんて出来なかった私は、誘われるまま理玖と唇を重ねていた。

この時の私は、理玖とこのまま幸せになれることを祈った。

結局、父のいう『すぐに』とは行かなくて、会場に15分ほど遅れたら、頭の上から下までチェックされて、「ちゃんと分別はあるようだな」と呟かれた。

母は、不機嫌だった父に困っていたようで、安堵の表情をしていた。祖父は、楽しそうに出入り口を見ているので自然と私も視線を向けたら、少し遅れてやって来た理玖は、こちらに向かって頭を少し下げ会場内の人の中に紛れていった。

お開きのご挨拶に、ご満悦顔の祖父が壇上に上がる。
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