夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「いやー失礼。失礼。東海林君の忠告、孫娘に響いたようだ。男を見る目を養った上で、婚約者を選ばせよう」
祖父から、お前は論外だと言われたことは理解できたらしく、真っ赤にしていた顔がみるみるうちに青ざめていった。
そして、人の視線に気がつき、よろけるように人をかき分けていなくなってしまう。
「さて、皆さまのお見送りを続けさせていただきますぞ」
理玖の肩をポンポンと叩き「そちも場を弁えれなければな」と、祖父に言われた彼は、表情を変えることなく列の先頭に立った。
そして、何事もなかったように、またお見送りが理玖から再開される。
父は複雑な表情を隠し、理玖のお見送りに怖いくらいの笑顔で見送る。私と理玖はお互い頭を下げるだけに留めた。
が、祖父は、自ら理玖の手を握り、「己の意思を曲げるか?」と、ニヤリと笑う。
「それもいいと思う、出会いがありましたから」
「ふむ、出会いの⁈…。だがの、公にしたことで『欲する鷹は爪を落とす』じゃ。せいぜい足掻け」
感情の読めない表情から顔を顰めさせた理玖を前に、祖父は「あははは」と高笑いしたのだ。
『欲する鷹は爪を落とす』
確か、欲深いと良くないことが起こるという意味だったと思い浮かべ、理玖を見上げる。