Tear Flowers〜奪われた未来〜
シオンが悲しみに揺れる目をエドワードに向けると、エドワードは顔を真っ青にしながら拳銃を向ける。

「俺の気持ちがわかるなら、俺が復讐したい気持ちもわかるだろ!?お前だって犯人を殺したんじゃないのか!?」

エドワードの言葉にフィオナはシオンを見つめ、真実を見ようと意識を集中する。フィオナの頭に、怒りで体を震わせたシオンが犯人を殴り付け、「殺してやる!」と銃口を突き付けている映像が浮かんだ。しかし、その映像はシオンが話し始めると消える。

「……確かに、私はヴァイオレットを殺された怒りでいっぱいになり、犯人を殴り付けたし銃口も向けた。でも、私は奴を殺せなかった……」

「何故!?」

エドワードの怒りと悲しみを含んだ声に、シオンは一瞬俯く。そして数秒後、シオンが顔を上げた時、フィオナもエドワードも息を飲む。シオンの瞳から、涙が止めどなく流れ落ちていたからだ。

「ヴァイオレットは、私の愛した人は……とても優しい人だ。例え、犯罪者であろうと他人であろうと、手を差し伸べて助ける人だった。そんな人が、私が犯人を殺すことを望むはずがない……」

あなたの愛する人は、こんなことを望むのか?

シオンは泣きながらエドワードを見つめた。
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