シングルマザー・イン・NYC
予想外の質問に、私は耳が熱くなった。
樹さんは楽しそうな笑顔。

「なんでそんなこと、きくんだ?」

「……妹か弟がいたら、楽しいなと思って」

結婚したのだから当然と言えばそうなのだが、夫と息子が赤ちゃんの話をしているというのは、とても照れくさい。

樹さんはどう答えるのだろうか。私はじっと身を固くして待った。

「――そうだな――楽しそうだな。そのうち生まれて来てくれるかも知れない。でも」

でも?

「結婚式をしてからだな」

「するの?」

思わずきいてしまった。式を挙げることなど、考えてもみなかったから。 

「嫌?」

樹さんにきかれ、私は首を振った。嫌だなんてとんでもない。すごく嬉しい。
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