シングルマザー・イン・NYC
「慧は?」

「賛成! お母さん、いつもお客さんをきれいにしてばかりだから、たまには自分が主役の日も必要だよねー」

「じゃあ、決まりだな。実は、カミーユさんとアレックスから、ぜひ式を挙げるように、早く日取りを決めて知らせろ、とせっつかれていて――」

樹さんが笑った。

「その時は必ず日本に行くから、と。希和の白無垢とウェディングドレス姿、両方見たいそうだ」

「最高だね! ハイファーイブ!」

慧が片手を高く上げて樹さんとタッチし(米国では「ハイタッチ」とは言わないのだ)、パチン、とかわいい音をさせた。

二人の姿が涙でかすむ。

嬉しいのはもちろん、驚いたのと、カミーユさんとアレックスの気持ち、樹さんと慧の存在、私たち三人の幸せ。
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