シングルマザー・イン・NYC
それからの日々は、不思議な時間の流れの中で過ぎていった。

お腹の中の赤ちゃんの成長を思うと、時間が過ぎるのがゆっくりに感じられる。

出産準備のことを考えると、あれもやっていない、これもまだ、と、時間が足りない。

私は元気な妊婦だった。

つわりはなく、今までと同じように仕事をし、帰宅後はテレビのニュースを付けながら、アレックスとベビー用品のサイトを見たりして、幸せな時間を過ごしている。

「新しい生命の誕生を待ちわびるのって、いいな。赤ちゃんアイテム、可愛いのばっかだし。癒される」

「アレックス、かわいい物好きだったんだね。知らなかった」

オネエではなくゲイなだけのアレックスは、見た目はスタイリッシュなハンサムだ。
だから意外に思った。

「……好きだね。子供の頃は姉の人形とか洋服に関心があった。特に髪。だから美容師になったんだし」

なるほど。

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