片思いウエディング～夫の不倫で！？離婚しましたが、コロナ禍で再婚して赤ちゃんを授かりました～

そして、自宅待機したスタッフの欠員を補う為に彼も療養用の宿泊棟の手伝いに回った。

私は支配人室で留守を預かる。

「こちら、支配人室…」



―――すいません…申し訳ありませんが、秘書の桜木さんにも手伝って頂きたいのですが…いいですか？
療養棟のフロントからのヘルプの内線。

「え、あ…はい…分かりました…」

私もフェイスガードや手袋と防護用のガウンをスーツの上から着込み、フル装備で足を運んだ。

「申し訳ありません…やはり…感染者が出てしまい…自宅待機以外のスタッフも怖くて休んでしまい…」
フロント係の亀山さんが申し訳なさそうに頭を下げた。

「そうですか…分かります…で、私は何を？」

「！！？後ろ…」
「えっ？」

ロビーにフラリとジャージ姿の若い男性が現れた。


「困ります!!勝手に部屋を出て行かれては…」
看護師が慌てて男性に向かって注意をする。

「うっせぇ！！部屋に閉じ困ってばかりじゃ息が詰まるんだよ！！」

男性はマスクを外して大声で怒鳴る。

―――この人もしかして…
私が距離を離そうとした瞬間、腕を掴まれた。