片思いウエディング~夫の不倫で!?離婚しましたが、コロナ禍で再婚して赤ちゃんを授かりました~
何も言わず、彼を見つめているとどんどんと顔が近づいて来た。
近過ぎて、彼の顔か何だか分からない。

「澪…君はキスの時、目を瞑らないのか?」

「!?」

私は反射的に目を瞑ってしまった。
重なる唇。

こうして、私の知らない所で、沙織さんに会い、彼女ともキスを交わしていたんだと思うとやりきれない。

唯重なるだけではなく、彼は唇の角度を変えてキスを幾度も落とした。

僅かに開いた私の唇に舌を割り入れて、口内も彼の甘く濃密なキスで蕩けていく。

長く続くキスの雨に頭の中は酸素不足でボーッとしていった。


私達が唇を離した瞬間は名残惜しそうな白い糸が引き合った。

彼は唾液で濡れた唇を指で拭い、私から離れる。



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