片思いウエディング~夫の不倫で!?離婚しましたが、コロナ禍で再婚して赤ちゃんを授かりました~
コンシェルジュとして働く彼は黒服に身を包み、髪の毛も後ろに撫でつけたようなセットをして、お客様に清潔な印象を与えるよう努めていた。

でも、本日の彼は髪の毛は洗いざらしまま、無地の白いTシャツにベージュのチノパン、丈の長めのカーディガンを羽織ったラフな装いをしていた。

新しい服を新調し、おしゃれした私の方が浮いている程、ラフ過ぎる恰好。
しかし、彼は何を着ても似合う。
私だけに見せるプライベートの彼。
ある意味、妻としての特権かもしれない。
こんな彼を沙織さんも見ているとしたら、悔しいけど。
「…そうやって、おしゃれすれば…君も尚さんに劣らずキレイに見えるんだ。澪…普段からもう少し気を遣え…」
圭斗さんにキレイだと言われた。
今日一番の収穫だ。ラフな彼と釣り合いが取れないと一瞬後悔したが、おしゃれして良かったと心の中で喜んだ。


「ほら、乗って…」

圭斗さんは持っていた電子キーで車のロックを解除して、助手席のドアを開けた。

「ありがとう御座います」

私は礼を言って、車に乗り込んだ。
彼が運転席に乗り込んでくる前に、シートベルトを着けて待った。

「じゃ出発するぞ…」

「はい…」


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