蒼月の約束
エルフの三人が一斉にお辞儀をした。

「グウェンさま」

金髪を頭の上の方で結んでいる背の高い男性。

この人を見ると、ついこの間覚えた恐怖の記憶を呼び起こされてならない。
王子の側から片時も離れず、常に周りを監視している。


エルミアは、後ずさりした。

また、今回も何か言われるのだろうか…。


「今までの無礼をお許しください、エルミアさま」

さっと膝をついて、謝るエルフを前にあっけにとられる。

「そのペンダントを身に着けていることで、エルミアさまが女王の手先ではなく、こちら側の者であることが証明されます」

グウェンは説明した。

「どうか、この国を、王子をお救い下さい」

固い顔を崩さず、まっすぐエルミアを見つめた。


救うって言っても、私何もできないよ…


なんて、エルミアを「予言の娘」と信じてやまない人たちに言えるはずもなかった。
< 46 / 316 >

この作品をシェア

pagetop