幻想館-白雪姫-
長い苦しみと痛みが由希奈を襲っていた。


医者は彼女の心のケアをしなければとケアマネージャーに連絡を取った。



心の傷は容易く治るものではないが、時間をかけてゆっくりと治療していくしかなかった。


夫が駆け付けると、
彼女は更に自分を責めたて今にも三階から飛び降りそうだった。



彼女の心を癒やし救える事は何なのか?


夫は励まし続ける事が最善なのか、わからなかった。



そして同時に自分の無力さを痛感した。



彼女は個室へと移った。



もう涙は枯れ果てて泣きわめく事はなかったが、由希奈はぼんやりと一日を過ごすようになった。



彼女の母親が病室を訪れる。


少しずつ話しかけると「うんうん」と言って頷いていた。


しばらく実家で娘の様子を見届けようと母親は思った。



それから母親は主治医に呼ばれて病室を抜けた。


由希奈はぼんやりしながらも起き上がりふらーっと病室から出て行った。



それは悲劇の始まりだった・・・・・・。
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