妹を溺愛する兄が先に結婚しました
嘘であってほしかった。


お兄ちゃんの想いなんて知りたくなかった。


今まで通り、うざいお兄ちゃんっていう認識でいたかった。



……でも。

知ってしまったから。


お兄ちゃんの想いを聞かされて。

言わずにいられない。



「……どうしてそこまで私のこと考えるの。

私たち、兄妹って言っても血は繋がってないんだよ。赤の他人から始まったんだよ。

どうだっていいじゃん。自分のことだけ考えていればいいじゃん」


皮肉なことを言っている。



今は兄の愛が重く感じるけど、小さい頃は嬉しかった。


再婚してすぐ、兄が家に帰ってこなかった時期。


家で1人になることが度々あった。


迷惑かけたくない。

頼れるところを見せたい。


──1人でも大丈夫。


そう振る舞ったけど、ほんとは寂しかった。


みんながいる時は賑やかな家が、1人でいる時はすごく静かで……怖かった。



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