妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「結咲、大丈夫?」


私に駆け寄る兄は、ほんとに心配そうな顔をしていた。


「ごめん」


「怪我は?ほんとに何もされてない?」


「大丈夫……。ごめんね、お兄ちゃん」


「結咲が無事ならいいんだ」


「……うん。

お兄ちゃんの言う通りだった。


ごめんなさい、お兄ちゃん」


声を震わせながら謝る私を、お兄ちゃんはぎゅっと抱き締めた。



「結咲には、俺だけがいればいいんだよ」


「それはやだ。私も彼氏ほしい」


「いなくていいよ。お兄ちゃんがずっといるから」


「お兄ちゃんじゃダメ」


そっと離す兄。


「なんでダメなの?」


「お兄ちゃんはお兄ちゃんでしかないから」


「なら結婚しよっか。お兄ちゃんじゃなくて夫になってあげる」


「しないし、なれないから」


本気で言うから困る。


恥ずかしげもなく妹にそんなことを言う兄、どうよ?


やっぱりうざいし、面倒くさい。



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