バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「赤星さん、僕と1歳しか変わらないのに、しっかりした感じですね」
「そうだね、爽やかだしね」
「えぇ、でも挨拶した時、殺気がしました」
「どういうこと?」
「わからないです」
景山くんは身震いするような格好をして席に座った。

挨拶が終わってから、赤星さんが人事部に来た。
「緑川さん、宜しくお願いします」
「じゃあ、会議室に行きましょうか」
書類を持って、会議室へと向かう。
「僕、幸せです。緑川さんと同じ会社なんて」
「そう言えば、何でうちに来ることにしたんですか?光先商事の方が大手なのに」
「緑川さんの顔を毎日みたいからですよ」
「そういうのはいいですから・・・」
さらっと言われる言葉に、営業トークと分かっていても返答に困る。
「本当ですよ。前に、営業部に行こうかなって話してたでしょ」
そう言えば、一緒に食事に行った時、話していたなぁ。
「営業トークだと思ってました」
「僕、本気ですから」
顔が真剣になる。
いつもの爽やかな笑顔から、真剣な瞳で見つめられ、目をそらすことが出来なかった。
「はいはい、じゃあ、労働条件から説明しますね」
私は赤星さんの言葉をあしらうように、話を進める。

「あと、1つお願いがあるんですけど」
「どうしました?」
「もう、僕は一社員です。景山さんとかと同じ話し方でお願いします。よそよそしくて、何だかいつまでもお客さんのようで・・・」
「わかりました・・・わかったわ、じゃあ、赤星くんでいい?今から説明するから」
「お願いします」
一通り労働条件を説明して、後は景山くんに引き継いだ。
「何か調子狂う」
先が思いやられる。
< 31 / 89 >

この作品をシェア

pagetop