バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「べ、別に大丈夫よ、これくらい」
私は、緊張したのと、どきどきしたことを隠すのに必死だった。

「さぁ、何食べます?」
「ランチメニューまだ、間に合うね」
「じゃあ、それにしましょう」
お店の中は雰囲気がとても良く、ゆったりとできた。
食事も美味しい。
「誰かと食べる食事は美味しいですね。特に相手が緑川さんなら尚更です」
私は今、どんな顔をしているのだろう。

私もだ。
最近、殆ど1人で食事をしていたから、とても楽しかった。

「お待たせしました。こちらがパフェになります」
「緑川さん、食べてくださいね」
「うん、赤星くんはいらないの?スプーン2つあるし」
「じゃあ」
赤星くんはスプーンでアイスをすくった。

「はい、あ~んしてください」
「えっ、私?」
「そうですよ、はいっ」
赤星くんが私の口に近づける。
「恥ずかしいよ」
「ほらっ、カップルじゃないってばれちゃいますよ」
私は恥ずかしいけど、仕方なくアイスを口にした。
「いつも仕事でかっこいい緑川さんを見てるから、凄くかわいい。癖になりそうです。もう1回」
「も~、恥ずかしいんだから」
「はい、あ〜ん」
私はもう1度口に入れ、恥ずかしくて
「もう、自分で食べるから」
そう言ってパフェを自分の手元に寄せて、照れ隠しのために、パフェを見つめて食べた。

仕事なら何でもこなせる自信がある。
でも、課長として気を張った毎日をここ数年過ごした私は、こんな胸がときめく時間から離れてしまっていた。
「お腹いっぱいになりましたか?」
「うん、お腹いっぱいだよ」
「じゃあ、行きましょうか」
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