バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「あぁ、そうでしたか。では、私の名刺も」
慌てて名刺を取り出し、赤星さんと交換した。
「僕と緑川さんの名前、色と自然が入っていますね。クリスマスカラーと夜空の星を映しだす川って、これも何かのご縁かもしれませんね」
本当だ、気がつかなかった。

「今日はお会いできて良かったです。これからも宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
私は玄関まで赤星さんを見送った。
「あぁー、一気に疲れた・・・」
まさか、仕事でまた会うとは思いもしなかった。
世間って狭い。気をつけないと。

名前にクリスマスカラーか・・・
忙しい時期のクリスマスは、仕事に明け暮れている。
今年はどうなるんだろう。

その日は、明日までに必要な書類を作成していて、すっかり遅くなってしまった。
「何とか終わった・・・今日は疲れた・・・」
ずっとパソコンに向かい、ようやく出来た書類を準備した後、肩に手を当ててため息をついていた。

「お疲れ様。これ缶コーヒーだけど」
声の人は、経理課長の藤井さんだった。
「ありがとうございます」
仕事はそこそこ出来て、見た目はとても紳士。ただこの人は・・・
「綺麗で仕事ができる女性っていいね」
2人きりになると、必ず近寄ってくる。
「藤井さん、駄目ですよ、他の女性を褒めては」
藤井さんは、秘書である社長令嬢青羽さんと付き合っている。彼女はまだ26歳だ。
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