絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
(まさか、冗談だよね?)

 そんなこと、あるわけがない。
 だって、私はただのしがない薬師だ。薬の効き目が抜群にいいことがちょっとした自慢だけれど、それ以外は何ひとつ目立つことのない平凡な人間なのだ。

「あなたは、聖女候補だ。俺と一緒に来てほしい」

 どうか聞き間違いであってほしいと願う私の祈りも虚しく、イラリオさんは整った顔に笑みを浮かべて先ほどと同じ台詞を繰り返す。

(この人、自分がかっこいいって知っていてこの表情作っているよね!?)

 そう疑ってしまうほどの完璧スマイル。
 当然、私に断る権利などなかったのだった。
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