絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 どういうことか聞き返そうとしたそのとき、自分の手が目に入った。

(あれ……?)

 それは、どう見ても小さな子供の手だった。グーパーすると意志に合わせて動くので、間違いなく私の手だ。

「か、鏡!」

 部屋の端に洗面台と鏡があるのを発見した私はそこに駆け寄る。後ろからイラリオさんが「お嬢ちゃん、まだ無理するな」と止めようとするのが聞こえた。けれど、それどころではない。

 鏡を覗き込んだ私は、信じられない光景に呆然とする。

「うそっ!」

そこに映っていたのは、せいぜい五、六歳程度にしか見えない子供の姿だった。
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