海と空の狭間で……
ごくりと唾を飲み込むと、ドアノブに手を掛けてゆっくりと扉を開き、部屋の中に足を踏み入れる。


パソコンから離れこちらに歩いて来るお兄ちゃん。


どくり。
どくり。


慣れ親しんだお兄ちゃんと会話をするだけなのに、身体は強ばり、心臓が脈打つ。


「アスナ」
「ん?」


それでも、今までの自分を装った。


「俺が怖い?」
「少しだけ……」


気丈に振る舞いたかったが、本音が盛れてしまう。



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