海と空の狭間で……
微かに聴こえる話し声を集中して、耳で拾う。


「金が返せない?」


どうやら、誰かと電話をしている様子だ。


「なら、沈んでもらうしかないな__」


その余りに冷静な声に背筋が凍る。


でも、電話している今なら家から出て行っても気付かれない。


出来るだけ音を立てないように、玄関に移動するとドアノブに手を掛けた。


向かう先は分からない。


ううん。


何処にも無い__


それでも、お兄ちゃんと一緒には居られない。
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