【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
まさか被害者に、そんな過去があったとは……。思いもよらなかった。
「笹野、ちょっとここ頼んでもいいか?」
「え、高野さん? どこ行くんですか!?」
「ちょっとな。 お母さん、お邪魔しました」
高野さんは突然立ち上がると、わたしにそう言い残してから家から出ていってしまった。
「あ、高野さん……!」
高野さんってば、どこに行くの……!?わたしを置いていかないでよ……!
「お母さん、今日はありがとうございました。……色々と大変な時にお邪魔してしまって、すみませんでした」
「いえ……。何もお役に立てることがなくて、申し訳ありません」
「いえ、そんなことありません。……おかげで一歩、前進しました」
わたしがそう言うと母親は「息子をあんな風にした犯人を……どうか捕まえてください」と頭を下げてきた。
そんな母親にわたしは「お母さん、顔を上げてください。……我々警察が、必ず事件を解決してみせますから」と伝えた。
「もしまた何か思い出したことなどあれば、いつでも連絡ください。……これ、わたしの名刺です」
わたしは母親に、自分の番号を書いた名刺を手渡した。