平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
カッとなったジェドを、魔女が箒を寄せて、唇にあてるように白い指を差し向けてくすりと嘲笑した。

「私が用意した〝亡霊〟のあるべきだった未来は、『魔力酔いの末に、血を吐き涙と共に絶命する少年。救えなかった死亡者を前に葬儀をする獣騎士団、うなだれる相棒獣たち』のはずだった」

それが、魔女が予知していたという〝本来あるべきだった未来〟。

リズは、コーマックたちだけでなくジェドも声が出ない様子に、彼らが可能性として考えていたことだったのだと気づいた。

『最悪のことになる前に』

獣騎士団として本格的に動くことになった時、ジェドはそう言った。

あの時は、リズは魔力酔いの先の〝最悪の結末〟を教えてもらえなかった。それはあまりにも残酷だったから……?

その時、魔女の目がこちらに向いてドキッとした。

「それを変えたのが、お前だよ」

「わ、たし……?」

「言ったろう。お前は特別な子だ、って」

気のせいか、一瞬魔女の瞳に切なさが過ぎった。しかし確かめる前に、彼女が表情を戻してジェドたちを見渡した。

「教えてやろう。リズ・エルマーは、魔女よりも希有な〝幸運の娘〟だ。だからあたしは、あんたたちに彼女を手放して欲しかったのさ」

「幸運の娘、だと……?」

「アティーシャもそうだった。幸運の娘は、周りに良き縁や運をもたらし、〝最悪な未来でさえも幸せな未来に変える力〟を持つ」

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